最大公約数/RADWIMPS
-数字を使ったこの上ないほどの芸術的恋愛ソング
■「僕の2歩は君の3歩、僕の4歩は君の6歩」
「僕」と「君(恋人)」の歩幅の違いを表し、歩幅は違っても同じペースで歩けていることから
「そんな風にこれからも歩いてければいいと思うんだ」
という歌詞で始まるRADWIMPSの中でも代表的な恋愛ソング「最大公約数」。理想型とは言えない「僕」という視点から、理想に限りなく近い「君(恋人)」と隣り合って歩いていきたい、そんな「僕」の切実な思いが描かれるこの曲は世代の垣根を越えて親しまれている曲の一つです。
■共通項の旅
「君が思うこと、それは同時に僕が思うこと、そんな奇跡は必要ないよ、ただであげるっていわれても」
と軽やかなリズムで連なってりサビに近づいていきます。「君」と「僕」とが完全に意思疎通できるわけではないし、そんな奇跡が起こりそうになるならそれはいらない。むしろ、多くの違いがある中で共通点を自ら見つけ出したいという「僕」の思いが
「わすれないように確かめ合って、途切れそうな思い詰め込んだんだ」
と表現され、貴重なサビへとつながっていきます。
■天才による芸術的な詩がここにある
恋愛というものは、相手に対して忘れられない何かを与え、ただひたすらに寄り添うものではありません。どんなに「僕」と「君」とで違う部分が沢山あったとしても、その中で同じ部分を見つけて自然と寄り添えるものだということを「最大公約数」という数学用語で表現しています。美しさもありどこかではかなさも感じるサビとなっております。
■僕の醜さ
「君の心は僕の2倍、僕の小指は君の2倍」
これは僕の体格は大きくても彼女の心のほうが広くてかなわないという考え方をすることが多いのではないでしょうか。続く
「別れよって言われる2秒手前、涙はかろうじてまつげの手前」
では二人が別れそうな危機に瀕しており、今にも涙があふれ出てきそうな描写を想像することができます。ただし、
「本日100回目のごめんね、あきれて君はわらったね」
とつづくことから、お互いが悪いというよりかは「僕」が原因であることは明白。そして
「別れる理由3つあるなら別れない理由100探すから」
この部分は素敵な表現にとても深い意味があって僕が大好きな部分です。なんで3と100なのか、実はこの2つの数字を最大公約数にすると1になります。つまり、まだ見たことない共通点や分かり合えることが1つでもあるなら別れるという選択を取らなくてもいいのではないかという「僕」が原因だけど別れたくないという尊さ、自己中心的な気持ちが歌詞として秀逸に表現されています。人間の粘り強くあきらめない泥臭い感じが聴いていて癖になります。
■理想と現実
「君が8なら僕は2になる」
という歌詞。これは題名の最大公約数ではないのはご存じの通りです。8の最大公約数は4であるということから、4という公約数は「僕」の中では恋人の隣にいるときの理想であって今は4に満たない、その次の2だということを言いたいのだと思います。あとの
「僕が10なら君は5になる」
は文字通り最大公約数になっていることから、恋人はすでに理想に近いもしくは理想通りの状態で隣にいてくれているいうことがわかります。つまり「最大公約数」というのはお互いが一番の共通点を認識し、それを持って隣にいる状態ということです。
■まとめ
恋愛というものは他の事象のように論理的に説明できるものではなく、直感力が大いに試される未知なるものだと実感します。なので数学で恋愛は語れないと思っといた方がいいでしょう。RADWIMPS(野田洋次郎さん)だからこそ恋愛というものを数学的に表現でき、聴く人を魅了させるいうことを忘れてはなりません。そんな天才が作ったこの曲は、いつの時代においても聞かれる恋愛ソングになるになること間違いないでしょう。
恋愛に限らず、家族や友人との最大公約数を見つけてみるのもいいかもしれませんね。
そうやってこれからだってやってこう!!